声(息)の場所と言葉の関係について

今日は、声(息)の場所と言葉の関係について考えてみます。

そこで、初めに確認しておきたいことは、声と息の位置関係です。

【声(息)の場所と言葉の関係について】~声と息の位置

声は常に、空気を満タンにはらんだ、息の湖の上にありますので((5)声を出す場所のイメージ)声は息よりも高い位置にあります。

しかし、息を先に持ち上げなければ、声はでないので、息を声よりも高い位置に設定しようとするのは正しいです。((11)息の持ち上げ方)(これは実践してみないと伝わりにくいかもしれません。)

そういうわけで、息と声の出し始めの位置は、だいたい同じと考えてください。

それではきょうは、ことばと声の関係を考えてみます。

まず、幼い子供が言葉を覚える前に話していた、幼児語のようなものについて見てみましょう。

子供の言葉

子供が言葉を間違えるとかわいらしくて、このまま大人にならなければいいのになあ、なんてころがありましたよね。

では、とても活発な親戚の女の子のことばを例にあげてみますね。

かががさした!ちががでた!

本来は「蚊がさした!」「血がでた!」になるのですが、おそらく、「が」のあとで、持ち上がった空気が余って行き場がなくなって、「がが」と発音していたのだと思われます。

かににさされた!

「蚊に刺された」ということ。これも上に同じです。

たかしやま

なぜか『高島屋』のことをそう呼んでいました。「たかしやま」の方が、声が回りやすくノンストップで話せる感じです。

知恵

「ちえこさん」というのは普通にいえるのですが、『知恵』の発音は難しく、できなさそうでした。「ち」のあとに「え」をいうとき、のどをしめたまま発音しなくてはいけないために、発音できなかったと思われます。

このように、子供が言葉を読み書きする前の、のどの状態は、私達日本の子供に限りませんが、とても自由であったと想像できますね。

国字(造語)

次に、若干発音しにくい言葉について見てゆきます。

古来からあるような、自然発生的にできた言葉ではなく、外来語であったり、明治時代に新しい概念が輸入されてできた新語/造語などです。

それは、論文などでは国字とよばれているものですが、国字の翻訳は明治20年までに一説では20万語作られたと言われています。以下、中国人学者「王彬彬のため息」から引用してみます。

歴史・民族・国家・宗教・信用・自然・目的・宗旨・代表・代価・国際・排外・基準・場合・伝統・継承・基地・元素・要素・学校・学生・警察・写真・法人・保険・常識・強制・経済・同化・出版・支配・公敵・哲学・理想・歴史・民族・国家・宗教・信用・自然・目的・宗旨・代表・代価・国際・排外・基準・場合・伝統・継承・基地・元素・要素・学校・学生・警察・写真・法人・保険・常識・強制・経済・同化・出版・支配・公敵・哲学・理想・作用・新聞・図書館・記者・社会・主義・野蛮・発起・革命・思想・運動・計画・金融・交通・現実・会話・反対・原則・人道・演説・文明・広場・人民・意識・工業・論文・進歩・義務・(中略)。

、、「化」という字をつけた、形や性格、変更を表す言葉、「民主化」「革命化」「現代化」を開発している。

やまと言葉は、漢字表記が出来るようになって、一挙に語彙を急増させた。例えば、「て」は「手」という漢字と置換することで、「手段」「手法」「挙手」「手配」「選手」「歌手」といった熟語を幾らでも生み出した。

日本の近代化の成功は、西周(にしあまね)等の先覚者による国字術語のおかげなのである。やまと言葉も欧米語も、国字いう日本製漢字に訳されて、新しい概念と意味も加わり、新しい日本文明もクリエートされたと言えるのだ。

このように、今使われている私たちの言葉は、江戸のことばややまと言葉なのではなく、明治期にできた新語ばかりのようです。

つまり、古来からある言葉なのではなく、人間の本能や知覚とは縁遠いものであったことがわかりました。

もっとも、国字成立のプロセスで、あまり発声器官を考慮されなかったことにより、発音がしにくくなっていることは、明治時代当時から時々指摘されてきたようです。

外来語

もう一つ、明治時代に多く入ってきた外来語についても付け加えます。

そのころの例としては、アルコール(alocohol/alchohol),ランプ(lamp),カルタ(carta)などありました。

外来語の日本語化では、そのまま、カタカナ語化されるのですが、子音のみ発音する習慣が日本語にないために、母音を足して、言葉のアクセントを移動させることになります。

すると本来音楽的で健康的に計算されていた(可能性がある)発音が、この造語作業によって、顎やのどに支障をきたすことになってしまったと考えられます。

真逆

『真逆』に関しては、自然発生的な言葉といえるのかもしれませんが、しばしば物議をかもしてきたようです。

「毎日ことば」のサイト(2018/11/22)に次の記述がありました。

まだ新聞は使用を抑制している「真逆」。使う人は55%の一方、定着したと考える人は4分の3を超えました。04年には新語扱いでしたが、今年出た広辞苑7版が注記無しに普通に使われる言葉として掲載するなど、急速に定着が進んだようです。

同記事には、なぜ『正反対』といわないのか、とも問われていました。

『正反対』は、鼻腔で発音しやすく、声を回さないと話せない言葉でもあります。

真逆[magyaku]のgやkは、舌の奥の両側を意識する発音なので、息のポジションが、のどの方にシフトされてしまう危険があります。

『真逆』は、口やあごを開けないで話す言葉ということになるのです。

加えて、gやkの含まれる言葉は、英語に多いことがわかっています。

馬のなき声

さて、江戸時代など古い文献によると、馬の泣き声は「イイーン」であり、今のような「ヒヒーン」ではなかったとどこがで読んだ記憶があります。

「イイーン」の方が、息の圧力が高く、また、息のポジションも前になります。前というのは、顔の奥側ではないということです。

「i」(い)よりも「hi」(ひ)の方が、顔の奥に入り、うまく発音するようにしなければ、あごに力が入ります。

植物

次に参考として、外国語の言葉を少し見てみましょう。

たとえば「植物」という言葉は、いくつか外国語で見てみると、

イタリア語で「pianta」(ピアンタ)
フランス語で「plante」(pロオントゥ)
スペイン語で「planta」(pランタ)
英語で「plant」(pランt)(カタカナでない発音記述になっているのは母音ではないためです)

これをみると、イタリア語では母音3つ、フランス語、スペイン語では2つ、英語では1つとなり、鼻腔を鳴らす時間は、イタリア語が一番長くなっています。

かりに「植物~」と歌ってみる時、音符の数では、イタリア語では♪♪♪、スペイン語フランス語では♪♪、英語では♪となるのですが、イメージできるでしょうか。

このように、ヨーロッパの南部地方で「pi」と綴るものは北部地方へ行くと「pl」になって、息が奥へ入り母音がなくなることがわかります。

日本よりも寒いヨーロッパでは、北に行くにつれて、子音の数がふえて、声も奥(鼻腔の外、口蓋の下)に入っていくようです。

まとめ

今日はすこし疲れる話題でしたが、ここまで読んでいただきありがとうございました。

色々見てきてわかることは、声というものは、人間の顔の骨の発達によって、その時代の発音によって、それから言語や地方によっても、いろいろと声(息)のポジションが変わってくるということでした。

ここで思い出して頂きたいのは、このブログの目的である『声で変わる健康』です。

「あいうえお」の母音は、鼻腔で出すものですから、母音の多い言葉の発音は、鼻腔を鳴らしやすいということです。

つまり、声も息も言葉も同じ場所にあることができるのです。

日本語は母音ばかりでできており、私たちは、もともと鼻腔をならす習性をもっていました。

そのため、ここでご提案したいのは、

・子供の声の状態に還る事
・外来語はのどに入るリスクがあると感じる事
・流行語よりも江戸言葉ややまとことばを選択する事
・母音の多い言葉を選択して話すこと

となると思います。まとめとして、大事なことをお伝えしますと、

発音しにくい言葉にひきずられて、
息を沈ませてしまわない事です。

どうしても発音しづらい言葉を使われるときは、できるだけ短く切って、

落ちた息を正しいポジション(鼻腔)に戻しながら、話されることを、お試しいただきたいと思います。

コメントを残す