(3)誤嚥を防ぐしくみと発声法

鼻腔・咽頭・喉頭および気管・食道の区分図

下の解剖図「誤嚥を防ぐしくみ」を使って、発声法ののどの空気の柱の作り方を見てゆきましょう。

今まで、息をはらんで力を抜き、声を出す場所である鼻腔・副鼻腔の内圧を、指で感じたり、声で感じたりされて頂いて、今日は、その続きになります。

誤嚥とは、気管に飲食物が流れ込んでむせる事です。

飲食物が気管を通って肺まで達すると誤嚥性の肺炎になり熱が出ます。

ふだんは気管はあいています。

軟口蓋(なんこうがい)は硬口蓋の延長にあり「のどちんこ」といいます。

飲食物を飲み込むときは、軟口蓋が反転し、咽頭(いんとう)の後壁に接し、鼻腔や耳管へ飲食物が逆流するのを防ぎます。

同時に、舌や喉頭(のど仏のあたり)も上にひっぱられて、喉頭蓋(こうとうがい)が反転し、気管をふさぎます。

鼻腔・口腔・咽頭・喉頭の病理学的解剖図(A:軟口蓋およびのどちんこ/B:喉頭蓋)

誤嚥を防ぐしくみは、私たちの意志に関係なく、自律神経で行われています。

図のように、A:軟口蓋(上図では口蓋帆)が鼻腔と咽頭の間で、B:喉頭蓋が食道と気管の間の弁となり、嚥下をスムーズにする役割をしています。

発声法での気道の息の保ち方

発声法による発声時の呼吸の状態は、嚥下時とは異なります。

声を鼻腔の高いところから出すこと、それから、その声の中の息の分量をふやすこと(鼻腔の内圧を上げること)を教わっただけですが、解剖学的に説明すると、このようになります。

具体的には、正しい下あごや口の開け方をして、舌根と喉頭蓋を前に出し、喉頭の奥を広げます。

同時に、軟口蓋もおろして咽頭を広げますが、くちびるの力を抜く必要があります。⇒(11)くちびるの力を抜く

鼻腔の内圧が上がると、のど(喉頭)や気管を押し広げる圧力となり、軟口蓋や喉頭蓋も自分でうごかすことになり、嚥下のトラブルが避けられると期待できます。⇒ミッション

そして、繰り返しますが、痰や膿、つばなどあらゆる目鼻まわりの分泌物を処理していると想像しています。

誤嚥を防ぐしくみの解剖図を理解し、
咽頭と喉頭を広げると、
鼻腔・副鼻腔に空気の供給がたっぷりできます。

歌手が、10分間のアリアを歌い続ける時、軟口蓋をおろして気道を広げることが、必要不可欠な条件になってきます。

それは、政治家も学校の先生も、お坊様も同様です。

発声中は、呼気を「ふいごの」のように、肺を通って気道から、鼻腔・副鼻腔へ供給しなければいけません。
(6)息の通り道

悪い発声法で、のど声を出して、声帯やその周りの筋肉に炎症をつくってしまったら、のどは腫れて気道が狭くなり、ふいごの力は弱くなってしまいます。

鼻腔・副鼻腔に十分な息の補給ができず、息切れとなったり、声がれとなったりしてしまいます。⇒FAQ

それで、しっかりと「ふいご」が働くように、自分で弁を動かせるようにする必要があるわけです。

それはつまり、声を出す場所をかえる練習になるのです。
(1)声の出し方

自律神経を働かせるためにも

嚥下時、舌や下あごが力が抜けた状態であれば、自律神経が働いて、誤嚥を防ぐことができるのではと考えています。⇒嚥下障害と予防法

舌や下あごの力を抜くとは、繰り返しますが、鼻腔・副鼻腔の内圧で声を出すこと、つまり、声を出す場所を変えることになります。

鼻腔・副鼻腔は、その大きさに関係なく、内圧によって、その声は遠くまでよく響くことは、小鳥や虫の鳴き声を例にしていただければ、おわかりかと思われます。

小鳥や虫、又は、動物のように、鼻腔・副鼻腔に息をはらんで体の力を抜けば、たとえ高齢になっても達成できることであるのです。

いくつになられても、自分の確かな腹筋を使って、すいすいと立ち上がり、可能な限り、自分の人生に不安なく立ち向かえるとしたら、、、理想のかたちではないでしょうか。

鼻腔・副鼻腔で声を出すと、腹筋がはたらくのでしたね。⇒(2)鼻腔・副鼻腔に息をはらんで力抜くこと

今からでも、いつからでも、気づいた時から、始められることですので、ぜひお試しになっていただけたらと思います。