(12)咳の場所をかえて痰を切る

せきをすると声帯を痛めることがある

のどで咳をするとどうなるか?

今日は、声帯を痛めるのどの咳をやめ、くしゃみをする所で咳をする方法を提案します。鼻腔・副鼻腔に圧力をかけるように咳をすれば、痰を切ることができます。

声で変わる健康でも触れましたが、のどで咳をしても、声帯が傷つくだけで、痰はきれるどころか、どんどん増加してしまいます。

咳を伴う疑わしい病気について

ここで少しお断りしておくことがございます。

咳の伴う病気には、肺炎、気管支炎、気管支喘息、百日咳、肺結核、萬世閉塞性肺疾患、肺がんなどがあります。

これから、声帯を痛めるあらゆるのどの咳を、なるべくしないように、お奨めする予定ですが、のどのせきを我慢されることにより、病気の発見が遅れることがあってはいけません。

このような上記の慢性疾患が疑われる際は、まず病院を受診されてくださいませ。

また、誤飲による咳反射の咳は、ここで話題にしている咳のことではございません。豆が気管に!気を付けたい子供の誤飲事故(お気楽Dr.ジェスレッ君のブログから)よろしく、区別ください。

痰を切る方法 咳 くしゃみ
咳やくしゃみ、できれば我慢したいもの

なぜのどで咳をするといけないの?

1.のどに炎症をつくるから

それでは、声帯を痛める咳の種類をわかっていただいたところで、本題に入ります。

からだの状態がどんなであれ、のどで咳をし続けると、声帯を痛めてのどに炎症をおこします。⇒FAQ

のどの咳はなるべく我慢されて、一刻もはやく治療をされて頂くのが肝心です。⇒声の問題~よくある症例

2.声帯の筋肉を使う習慣だから

しかし、おなかがすくと咳がでたり、軽度のかぜでもすぐに咳はでます。

その場合は、声帯を痛めないためだけでなく、のどの筋肉を使う習慣を忘れるためにも(声を出すのにも必ず筋肉を使ってしまうことになるから)極力、のどの咳を控えていただきたいと思います。

【咳をする場所をかえて痰を切る】~咳をする場所

それでかわりに、鼻腔・副鼻腔の内圧で、痰を切る方法がございます。これは、鼻腔・副鼻腔で声を出すのと同様に、上から一瞬間で切って落とす方法です。⇒(1)声の出し方

この一連の作業を、のどで咳が出そうになったら我慢して、かわりに鼻腔・副鼻腔の場所でやってしまってください。

まず、頭蓋骨が3つに分かれているか確認されてください。(2)鼻腔・副鼻腔に息をはらんで力抜く

次に舌根を前に出します。⇒(10)舌根を前に出す

鼻腔・副鼻腔の位置を確認して、息を持ち上げます。
⇒ (9)息の持ち上げ方

鼻腔・副鼻腔に圧力をかけて、「ハンッ」と1回咳をします。(5)声を出す場所のイメージ

これを実行していただくと、鼻腔の内圧で、痰がごろんと切れて、口の中にあふれてきます。⇒のどが疲れない音読法

これが成功して、もしも痰がたくさん出てきたら洗面所で吐き出してください。

痰が完全に出てしまわないようでしたら、何度か鼻腔で咳をしていただき、ティッシュペーパーで受けながら、少しづつ痰を減らされてください。



咳の場所を変える秘策の練習法

くしゃみを利用して咳の練習をする

くしゃみが出る寸前の顔
くしゃみ

さて、くしゃみは咳とは違いますが、くしゃみを利用すると、咳も声もどのように出せばよいか、わかることがあります。

くしゃみの機能

くしゃみの機能は2つあるのですが、ご存知でしたでしょうか?

ひとつは、ホコリや異物を排出する機能で、もう一つは、体温を上げる命令機能です。

鼻腔内の体温が著しく下がったときに、鼻腔内の知覚神経が体を振動させて、体温を上げる命令を出すのだそうです。

つまりくしゃみは、鼻腔に息をもちあげて、からだを温めようとしている発作的反応なのですね。

くしゃみは、自分で息を持ち上げようとがんばらばらなくても、自然に、直接に、息が鼻腔に到達する、チャンスです。

くしゃみを利用するとき、注意することが2つあります。

くしゃみの注意点

一つは、のどがしっかりと開けられていないと、こみ上げてきた息の暴風のやり場がなくなって、何回もわけて、小さいくしゃみをすることになってしまいます。⇒吃音の原因について

すべての息が鼻腔のてっぺんまで、持ちあがるまでこらえ、一気に一度でくしゃみをすると、あまりお上品ではありませんが、あとで、鼻腔がとても気持ちのいいものになります。

もちろん、それは、息(くしゃみの声)がのどに全く引っ掛からなかった場合です。

2つ目の注意点は、息がのどにひっかかると、かなりのどを痛めるリスクがあることです。

鼻腔で咳をすることは、はじめは、非常にむずかしいです。

お腹の力を使って、口蓋の上に息が持ち上がるのを待ち、なるべく鼻腔の内圧を高め、息を固めて、できるだけシャープな咳を心がけてください。

このとき、高い後頭部に意識を持ってくると、やりやすいかもしれません。

上から切って落としてみてください。

見得をきったりして。

くしゃみは息が上に上がるまでこらえる

こみあげてきた息全部を、鼻腔の天辺に到達するまで、完全にこらえてしまったら、どうなるでしょう。

経験からご存知と思いますが、くしゃみは消えてなくなることがあります。

こらえてくしゃみをやめてしまうか、それとも一気にしてしまうか、、、

どちらにしても、これは、鼻腔の位置を発見する、つまり咳を高いところでする練習になるかと思われます。

ちなみに、ずいぶん、はしたないことを書いているようで、お断りしておきますと、

鼻腔の位置がわかっていれば、仮に、思いっきりくしゃみをされたとしても、

おそらく飛沫が飛ばないように、ご自分でコントロールができることでしょう。

でも念のため、手で口を覆われてくださいね。

鼻腔で息を操ることができれば、くしゃみをしないで済ませられますよ。

鼻腔で息を操ることができれば、
咳もくしゃみも我慢できます!

まとめ(鼻腔の圧力で痰を切る方法)

のどでしている咳の習慣をやめ、鼻腔の圧力で痰を切る方法は、今回はじめて聞く方も多いと思われます。

海外旅行をされた方なら、その咳を聞いたことがあるかもしれません。

芥川龍之介が、横浜のゲーテ座の観劇の際、隣にすわっていた外国人女性が、鼻から切っておとすような咳をしたと書いていて、思い出しているのですが、彼の全集のどこだったか忘れてしまいました。

とりあえず、今している咳をやめると、のどが楽になります。

それだけでなく、鼻腔を意識して声を出していただければ、無理に咳をされなくても、痰や分泌物は口の中に垂れてきて、咳の必要がなくなります。

のどを痛めるその場所は、からだの血流を停滞させる、健康に良くない所なので、できましたらすぐにでも、忘れてしまっていただきたいと思います。⇒のどが疲れない音読法