FAQ

よくある質問です。

質問1:どうして「のど」で声を出してはいけないのですか?

「のど自慢」とか「のどを鍛える」など、いい声を出すのに、のどを意識される方が一般的です。声の音は(骨に囲まれた)空気の振動で作られます。のどの空間には、声帯があって、帯状の筋肉がふるえて共鳴します。筋肉を意識して声を出すと、炎症を起こしてしまいます。声は、鼻腔と副鼻腔という空間を使って出します。
詳細は、声で変わる健康  
              (1)声の出し方  
              声帯の動画から見る、鼻腔の内圧の声へ。

質問2:口を開けているのは、口呼吸なのですか?

口呼吸は、口から息を吸うことが問題です。健康的な呼吸は、鼻で吸って鼻で吐くようにしますが、運動をしているときは、出入りする息の分量が増えますので、口で吐くこともあるでしょう。口を開けていると、口呼吸になるのではありません。
詳細は、口呼吸はこわい!へ。

質問3:鼻呼吸にするために口を閉じないといけませんか?

睡眠時、「鼻呼吸テープ」の使用が人気と思いますが、口で息を吸わないために、口をテープで閉じておくのは名案です。ただし、昼間、鼻呼吸のために、口を閉じる必要はありません。むしろ、口を開けていた方が、のどの奥が開きやすいので、半開きのような口を開けている方が、体の力が抜けてていいです。考え事をしている時は、ふつう口をあいて鼻呼吸をしています。詳細は、即!鼻呼吸にきりかえる法

参考:鼻呼吸で出す鼻腔の声、超模範演奏はこちらです。往年の名歌手小畑実。息を継ぐとき、次の声を用意するとき、口を開けて鼻で息を吸っているのがわかるでしょう。

質問4:鼻腔の内圧で出す声とは、どんな声ですか?

鼻呼吸によって吸った息をそのまま上からたたくように声を出せば、声はうまく出せます。ふだん、出している声を観察してみると、実は、誰でも、そのように鼻腔の内圧で声をつくって出していることになります。無意識に出しているふだんの声のことです。
詳細は、(5)声を出す場所のイメージ

質問5:吸った息を止めて、話さなければいけないのは、なぜですか?

話し続けていると、鼻腔の内圧の息が足りなくなって、声が継続できなくなります。話すということは、イコール息を吐くことです。(ただし、口から息を吐きながら話すのとは違います)なるべく息を止めて話さなければ、どんどん息は漏れてなくなります。声も聞こえづらくなってきます。

息が無くなってくれば、思っていることを覚えていられません。そういう時は、息が無くならないうちに、早めに言葉を切って息を吸えば、考えも頭から離れず、相手にも伝わりやすいことばとなります。自分ののども呼吸も苦しくなることがありません。

質問6:息を止めるというのは、どういうことですか?

水の中に潜っているときは、息ができませんから、誰でも息を止めています。その要領です。たとえ、水中でなくても、息をとめていれば、口から息を吸う口呼吸も避けられますし、頭頂に息をはらんでいるような、健康的な呼吸になります。
(13)海女さんの呼吸法

質問7:息を止めると記憶がよくなるって本当ですか?

誰でも、何かを思い出したり考え事をしているときは、息を止めて吐かずにいます。息を止めて鼻腔の内圧を高めています。最近家の中でゲームをしたり、ワークをしたりすることがふえたので、その時間、息をとめて集中されています。自分やまわりを観察されてみてください。たとえばあらかじめ、息を止める習慣を癖にしておくと、思い出す時間も短くなってくるでしょうし、ゲームも強くなれるかもしれません。記憶力もしかり。
息を止め耳を澄まし記憶する法

質問8: 人は自分の声を聞いて話しているってどういうことですか?

人は話をするとき、前頭葉の言語野でことばを作り、聴覚野でその声を確認しながら話しているそうです。⇒脳の仕組みを図入りで詳しく解説、大脳皮質のその他の主な機能

今発した声が良かったとか、思ったようでなかったとか、もろもろの確認作業を瞬時に行っているので、ふつうに話せるそうです。その確認速度は、超高速電気信号のやりとりです。そのとき鼻腔の内圧を保っていたら、各器官の働きはよくなると想像できるでしょう。
自分の声が聞こえないと話せない

質問9:息を止めることができません。どうやったらいいでしょうか。

正しい息の吸い方をしていると、息をとめるのは簡単です。深呼吸をするとき、吸った息を鼻腔にためておけるようでしたら、正しい息の吸い方はできています。舌で底からフタをしておけば、さらに完璧です。息を吸うと、お腹や横隔膜は軽く引っ張られますが、イメージとしては、咽頭や喉頭の息は動かさないでいる感じになります。顔の前の方の息だけが動きます。
詳細は(2)息をはらんで力抜く 
         (6)息の通り道

どうしても息が止められない人は、口の開け方がいけないでしょう。口を開けっ放しにする練習が効果的です。
参考:嚥下障害と予防法

質問10:ずっと口を開けていることができません。歯医者でも治療時困っています。口呼吸なのでしょうか。

口呼吸のようです。大きく口をあけたままで、息ができるように練習されてください。その時舌で口蓋に蓋をすると、楽な呼吸ができます。下歯茎につばがたまってきたら、外に垂れないように、下あごと下唇を前後させるなどして、垂れないようにされてください。この運動は発声器官のリハビリにもなります。もしも、口を開けたままにできないようなら、何回もただ開けたり閉じたりすることから、はじめてください。顔の表面の皮や肉を骨からはがすように、何度も開ける練習からされてください。
詳細は、(10)舌根を前に出す

質問11:正しい息の吸い方とは、どうするのですか?

鼻腔副鼻腔をめがけて、鼻の穴から息を「縦」に吸うことになります。(6)息の通り道
例えば、鼻や口からロウソクの火が揺れないほどのかすかな息を30秒かけて吐き続けてみましょう。目を閉じて静かに、頭の天辺から足のつま先までの息が、ゆっくりとすっからかんになるまでを想像します。もしも、時計の秒針が30秒を打つ前に息を吐ききってしまわれたら、そのまま息をしないで30秒過ぎるのを待ってください。30秒過ぎたら、鼻から、体いっぱいが満タンになるまで、ふつうに「縦」に息を吸ってみてください。下あごが開いて、舌が口蓋に張り付いてくるほどに、顔が長くなれば最高です。その時に入る息の場所や分量が、正しい息の吸い方になるので、体得されてください。

参考資料:「がんは自分で治せ」【間瀬健一著–体験的自然治癒力活性化超健康法】
この本の中で、多臓器不全症となり生還された著者は西野流呼吸法を紹介されています。足芯呼吸というのだそうで、ゆっくりと足の裏から気を頭の天辺の百会(ひゃくえ)のツボまで吸い上げ、いったん呼吸を止めて、イメージの上で丹田まで気をおろし、そこからまた足の裏に向かってゆっくりと気を吐き下ろす。ちょうど草木が根から水を吸い上げるようなイメージを大切にする、とありました。

当サイトでは、病人の声の出し方は声帯の筋肉の声でなく、空気(息)によるものと考えているので、足芯呼吸を参考にします。あえて、先に全部息を吐ききってから、新しく鼻腔に自然に流れ入る息の内圧を確かめて頂きたいと思っています。⇒参考:息をはらんで力抜くこと

質問12:声が出ない、かすれる、のは何が原因ですか?

口呼吸の人が風邪をひけば、のどが腫れて「声はかすれて」きますし、鼻もつまれば鼻声になります。高熱でなければ、気力回復~こりゃ神だわ!を参考にされて、音読で、ご自分の熱を下げる鼻呼吸、つまり鼻腔の内圧の声が出るようにできるかもしれません。しかし、重大な病気の前兆を見過ごすということもあり得ますので注意が必要です。

「声がでない」場合ですが、ろれつが回らなければ「脳梗塞」、無口が続くと「うつ病か認知症」ゼイゼイして痰がからんでいるようなら「ぜん息」声の出しすぎ、声の出る場所のまちがいなら「喉頭(蓋)炎」や「上咽頭炎」なのかもしれません。私は判断ができません。ただ、鼻腔の内圧で声を出す訓練は、やり方をまちがえなければ、どんな病気にもいいものであるはずです。病院治療を優先頂き、治しながらの訓練をおすすめしたいです。
咳の場所を変えて痰を切る  
   のどを痛めない音読法

質問13:声をつくるとはどういうことですか?

18世紀後半のイタリアで、ベルカント唱法が生まれました。このサイトについて(発声法の背景)をご覧ください。医学の発達していなかった頃、歌手たちののどは酷使されたまま、常に生命の危険にさらされていました。作曲家とのコラボにより、17世紀からそれまでの歌い方に何度も研究が施され、ついに、歌手の声帯への負荷が軽減された、テクニックが生まれました。しかも、そのテクニックは、自由自在の発声法と技巧的な歌唱力を備えたものになりました。その後、歌手でなくても、のどをいたわる声の出し方が、伝統的に確立されてきました。参考資料:歌い手のフォルマントについての一考察―ベルカント唱法と科学的研究を比較してー高橋純 津崎実

「声をつくる」とは、発声練習をし始める前、声帯を痛めないように、あらかじめ声の場所を見つけておくことです。いつどんな時発声しても、その場所を外さないように準備しておくことです。そしてその場所というのは、「鼻腔・副鼻腔」になります。

質問14:吃音の原因は何ですか。

一般的に吃音の原因はわからないとされています。広島言友会のひろさん(ボイストレーナー)は、「脳と身体にバリアがある」からと仰ってました。「身体のバリア」は練習により簡単にはずせる、そして「脳のバリア」も、その練習によって問題なくなると応援、動画配信されています。

吃音ボイストレーナーひろさんの動画

質問15:声帯が老化しても声はでますか?

はい、出ます。というと正確ではないかもしれませんが、ちゃんと伝わるクリアな声が出ます。もしも腹筋が鼻呼吸と連動していれば、サイレンのような声も出せます。私は85歳のおじいさまが、騒いでいる子供たちにサイレンのような大声で叱るのを聞いたことがあります。しかし、そのような声を自分で出しているにもかかわらず、自分から遠くで聞こえるような感じの声になります。加えて、その声を出している瞬間は、ものすごくすっきりとした、体の力の抜ける、気持ちのいいものになります。これをするのに、特に才能は必要ありません。
⇒参考:(1)声の出し方

ほとんど全く声の出なくなった90歳超えの方が、先日「補聴器屋に声を治せるわけがない」と半信半疑で来店されました。しかし、このピンチはご本人にとってチャンスなのでした。筋肉(声帯を含む)を使えなくなってしまわれたからです。よその場所で声を出すしかありません。その方の場合、顔を縮めておでこから声をだしてもらいました。何度かおでこにかすかな声を当てた後、少し大きな声ではっきり会話ができるようになりました。健全な鼻腔と副鼻腔をお持ちでおられました。
(4)2階から声を出す

ふつう、一度の面会では、声を終わらせるときに、のどに力が入るのを修正できないものですが、その方の場合は、話し方に抑揚があり、声を止める場所も問題はありませんでした。
(7)声の回し方

質問16:声を出さないと健康になれないのですか?

いいえ。声を正しい場所で出していると、体の血行がよくなり、呼吸も整い、健康になれるでしょう。しかし、声を出さなくても、何も心配することはございません。その場合、声を出しているのと同様に、鼻腔や副鼻腔の内圧を利用し、正しい声がいつでもすぐに出せるような状態でいることが大切です。本を読んだりTVを見たり、我を忘れて無意識で何かをしている状態が、その状態に近いです。
(2)息をはらんで力抜くこと
(5)声を出す場所のイメージ

聞こえるのにわからない PicsArt 質問

質問17:声帯筋肉を鍛えることはできますか?

声帯の筋肉を鍛える練習があるそうですが、声を出す場所を確認しないうちに発声練習をすると、声帯の筋肉を痛める練習になってしまいます。長年観察していると、人は意識して声を出すことが得意ではないようです。

声を出す場所を見つけないうちは、思い切った練習を控えるようお奨めいたします。ただし、声を出す場所がわかってからの練習は効果的になります。まだわからないうちは、当ブログで紹介しているような音読で、声帯を痛めず練習する事が出来そうです。
のどが疲れない音読法

質問18:声筋を鍛えると「ふんばれる」と聞きました。丹田で「ふんばる」のではないのですか?

声帯を囲んでいる小さな複数の筋肉を鍛えると「ふんばる」ことができると言われているようです。(そのいくつもの小さい筋肉は喉頭=のどにあります。)

たとえば文字を書くとき、縦書きで、漢字の「はね」「止め」をしっかりしようとすると、利き腕やのどに力が入ることがあります。また、痰を切るとき、咳を意図的にしようとして、筋肉に力を入れることがあります。そう、お箸を使っているときもそうです。利き腕やのどに少なからず力が入っています。このように、私たちは知らず知らず、声帯の周りの筋肉に力を入れる癖を持っています。(※余談ですが、その道の大家(たいか)とされる人たちは、声帯の筋肉に力が入っていないことが多いと観察しています)

力を入れることは、のどや声帯をいためるので注意が必要です。ふだん出している声をかえるだけで、腹筋が働き、声帯(の筋肉)や体の関節にかかる負荷を遠ざけ、楽な発声も嚥下も回復できます。のどに意識を向けずに、鼻腔•副鼻腔に意識を向けると、丹田や腰回りが無意識に「ふんばって」くれるものです。
(2)息をはらんで力抜くこと

質問19:最近「顎顔面矯正」という成長期の子供に施す歯科技工があるそうです。鼻腔を広げたり、舌の動きを改善する矯正法らしいですが、「声のケア/声と健康」では、顎や顔面の矯正はできないのですか?

当ブログでも、目的とする所は同じです。お子様の成長期(5~7歳、顎の発達期)に、医学の力で、骨格や歯並びを治して将来に備えることは重要だと思われ、顎顔面矯正に賛成するものです。伝統の発声法を思い出してみると、12歳のマリア•カラスの録音が残っていますが、私の知る限りでは、12歳以下の子供に発声法は教えてないのだと思います。ただ、可能性として、伝統芸能やいい文化にふれたり、楽器を習ったりと、目的のためには多様な救済策も選択肢としてあるので、参考にされて下さい。(お子様が過度な障害に苦しんでいない場合です)

また、人が成長期を過ぎたとしても、仮に90歳を過ぎていたとしても、顎顔面矯正に近いゴールを目指すことは、十分可能といえるでしょう。諦めてしまうのは勿体ないです。残念ながら、成長期に固まってしまった歯並びについては、息の通り道を変えるように、簡単に満足されるまでの改善とはならないでしょう。ですが、鼻腔は内圧により広がり、呼吸も発声も気道が安定すれば楽になり、どんな人でもコツさえつかめば健康を手に入れることはできるのです。それにはただ一点、声の出る場所を外さないように意識するだけでよいのです。

質問20:どの国の言語でも1%程度の吃音者がいるといわれているのに、口呼吸の日本語が吃音の原因という根拠は何なのでしょうか? 

一般的に発声法では、のどをあけて、明確な発音をし、強弱緩急を息の分量や圧力で表現します。のどがしまっている口呼吸の状態は、話をする息の分量が足りないことと、舌や下あごが不自由で発音に支障をきたすことから、吃音症状を誘発すると考えられます。 

ブログでも書きましたように、伝わる母音を口蓋の上で発音するためには、鼻呼吸で、かつ、鼻腔の内圧で声を出さなければ、成功しないものです。 

よって、口呼吸をして、母音を口蓋の上で鳴らさない習慣になってしまった現代人の言葉は、吃音になりやすい、といえると思うのです。 

質問21:「顎顔面矯正」と本読みが引き金になって吃音を発症するというデータがあるのでしょうか? 

  本読みが引き金になる、というのは、吃音患者様の体験談や映画等からでもよく目に耳にします。データはありません。顎顔面矯正が引き金になるとは書いてないつもりです。わかりにくくてご不便をおかけしております。 

「メリケン粉」は食料配給の時代に、アメリカの小麦粉のことを、耳からきいて定着した言葉ですが、英語で”American”を習うと、「アメリカン」と発音しますので、実際の発音とかけ離れ、聞こえるのにわからない言葉になり、しかも、本能的に、のどを痛める発音に変わります。例えば、この「アメリカン」が私のさす口呼吸の日本語です。