(1)声の出し方

息のたまる、鼻腔や副鼻腔の場所

【 声の出し方 】~声の出る場所

今日は「声の出し方」と「声の出る場所」を話題にします。はじめに、声の出る場所の確認をしてみましょう。

誰でもふつうにおしゃべりをしますので、同じように声を出していると思われがちです。

あなたは、おしゃべりを続けていて、のどが痛くなったことはありませんか?⇒FAQ
体がこわばってきたり、せきこんでしまったりしませんか?⇒声の問題~よくある症例

どうしてこんなことが起こるのか、解剖学的に見てみましょう。

鼻腔と副鼻腔

発声法による「声の出し方」は、声帯という筋肉を使うのではありません。
声の出る仕組みにおいて、声帯が振動して音声を作ることは間違いないのですが、それはあくまでも受動的であり、自ら声帯やその周りの筋肉に力を入れるのではないです。
鼻腔や副鼻腔の空洞にたまっている『空気』に圧力をかけて出すのであれば、
健康的によいことがわかっています。⇒声帯の動画から見る、鼻腔の内圧の声

鼻腔 副鼻腔 空洞 声の出し方
鼻腔と副鼻腔の位置

上の図で、赤っぽい色のついているところが、全部空洞になっています。

この空洞部分のどこを使って声を出しているのか、それは、個人によります。

それでははじめに、空洞の位置を感じることから入ります。

鼻腔の内圧を指で感じる

ここで空洞の名称である、鼻腔・副鼻腔について確認しておきましょう。

副鼻腔の図
鼻腔の後ろにある副鼻腔

鼻腔は、鼻の内側にある、顔面中央の頭蓋骨の中の広い空洞で、
鼻中隔によって左右に分かれています。

上壁は頭蓋腔から、下壁は口の天井(硬口蓋)まで、4つの壁に仕切られています。

副鼻腔は、鼻腔を取り囲む、やはり頭蓋骨の中の空洞です(正面の顔図参照)。

副鼻腔は、鼻腔内の温度・湿度の調節をし、音声の共鳴に重要な役割を果たしています。

この鼻腔・副鼻腔(上図の空洞のところ)に、人差し指と中指を当ててみましょう。

そのまま、「ふんふん」とか「はっはっ」とか言ってみてください。

指の腹に圧力を感じられるかどうか、確認してください。

はじめは、小さな声で十分です。

「声の出し方」がわからないうちに、大きな声を出すのはよしましょう。声はちらばって、あちこちに反響していまいます。圧力も弱くなります。

ちなみに、私の場所は、眉間や目の周りです。鼻翼の両側にも感じられます。

みなさんが、自分の一番感じやすいところを発見してください。いつでも、どんなときでも、その場所を指で感じられるように、訓練なさってください。

ポイントは、力を抜いて、小さな声を出すことです。

大きな声は、その場所をはずさない自信ができてから、練習することにします。

すぐにできなければ、日を改めてチャレンジされてください。

仮に今できなくても、あとで、

口蓋の上に息を持ち上げたり(⇒(11)息の持ち上げ方

息のたまるスピーカー(鼻腔副鼻腔)の息漏れをふさいで維持したり(⇒(6)息の通り道

鼻腔・副鼻腔の息の分量をふやすことで(⇒(5)声を出す場所のイメージ

必ずその声を出す場所はみつけられますので、安心されてくださいね!

鼻腔・副鼻腔をみつけるヒント

口蓋の上の空洞(鼻腔・副鼻腔)の場所をつきとめるヒントは、
日常生活の中に、いっぱいあります。ほんの数例ですが、、、

①ワサビを食べ過ぎてツーンとくるところ
②お風呂に入ってふわあっといい気持になるところ
③おいしいものを食べて、幸せな気持ちになる所
④何かが思い通りにいって、やったあ!と喜ぶときの場所

鼻腔 副鼻腔 空洞
声の出し方
鼻腔 副鼻腔

上記のようなとき、人は空洞(鼻腔・副鼻腔)を、フル活用させています。

鼻息が荒くなっている状態ですし、恍惚感を感じているとも言えそうです。⇒声で変わる健康

つまり、私たちが無意識に、いい気持になっている場所が、
鼻腔・副鼻腔であり、正しい声を出す場所なのです。

こんなに気持ちのいいところを
頻繁に使わないで、眠らせておくことは、
もったいないですよね!

「声の出し方」の練習をするときは、

楽しいこと、うれしいこと、おいしいこと、美しいこと、などを考えて、

幸せな気持ち、でやっていただけると、案外進歩が早いかもしれません!

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

声を出した時にお腹が軽く動く(腹式呼吸)

ところで、鼻腔・副鼻腔の位置を感じる時の体の姿勢についても、意識してみるといいでしょう。

本来は、どんな姿勢をしていても、正しい声の出し方で、人にわかってもらうことができなければいけませんが、

練習の間は、声とお腹を連動させることをつかんでいただきたいので、つぎに姿勢についても触れておきます。

練習時の姿勢

上図の『咽頭と喉頭の区分図』ではみえませんが、気道(気管支)は、実際にはのびて肺につながっています。

ですが、気道のイメージとしては、太~い孟宗竹を想像しながら、やって頂きたいのです。⇒ (6)息の通り道

(※このブログでは、ある女性たちや黒人の方の声に多い、胸の声を、とりあえず、推奨いたしておりません。ご了承ください。)

気道のイメージ

息(空気)は、臍下丹田(みぞおち)や腰のあたり(尾骶骨)から横隔膜をやり過ごし、鼻腔・副鼻腔の上あたりまで続き、頭の上まであるような、太い柱をイメージされてください。

「はっはっ」と声を出すたびに、お腹が「ぷくっぷくっ」と軽く膨らむような、引っ張られるような、感触がある

これが、正しい声の出し方であり、腹式呼吸ということになります。⇒ミッション

上で「はっはっ」下で「ぷくっぷくっ」です。

このとき、故意におなかに力を入れることは考えません。

あくまでも、声をだしたら自然にお腹の皮が引っ張られる、というのが、正しいメカニズムになります。

声を出すたびに、軽いスポーツをしているような感覚になれば、なお、すばらしいと思います。⇒のどが疲れない音読法

それでは、小さい声で、声もおなかもはずませながら、軽く練習なさってください。

一日ほんの短時間で結構ですので、毎日気づいたらやっていただきたいと思います。

それでは、次回は、下あごをあけること、力を抜くことをお話しする予定です。