【 声の出し方 】~声の出る場所
今日は「声の出し方」と「声の出る場所」を話題にします。はじめに、声の出る場所の確認をしてみましょう。
誰でもふつうにおしゃべりをしますので、同じように声を出していると思われがちです。
あなたは、おしゃべりを続けていて、のどが痛くなったことはありませんか?⇒FAQ
体がこわばってきたり、せきこんでしまったりしませんか?⇒声の問題~よくある症例
どうしてこんなことが起こるのか、解剖学的に見てみましょう。
鼻腔と副鼻腔
発声法による「声の出し方」は、声帯という筋肉を使うのではありません。
声の出る仕組みにおいて、声帯が振動して音声を作ることは間違いないのですが、それはあくまでも受動的であり、自ら声帯やその周りの筋肉に力を入れるのではないです。
鼻腔や副鼻腔の空洞にたまっている『空気』に圧力をかけて出すのであれば、
健康的によいことがわかっています。⇒声帯の動画から見る、鼻腔の内圧の声
上の図で、赤っぽい色のついているところが、全部空洞になっています。
この空洞部分のどこを使って声を出しているのか、それは、個人によります。
それでははじめに、空洞の位置を感じることから入ります。
鼻腔の内圧を指で感じる
ここで空洞の名称である、鼻腔・副鼻腔について確認しておきましょう。
鼻腔は、鼻の内側にある、顔面中央の頭蓋骨の中の広い空洞で、
鼻中隔によって左右に分かれています。
上壁は頭蓋腔から、下壁は口の天井(硬口蓋)まで、4つの壁に仕切られています。
副鼻腔は、鼻腔を取り囲む、やはり頭蓋骨の中の空洞です(正面の顔図参照)。
副鼻腔は、鼻腔内の温度・湿度の調節をし、音声の共鳴に重要な役割を果たしています。
この鼻腔・副鼻腔(上図の空洞のところ)に、人差し指と中指を当ててみましょう。
そのまま、「ふんふん」とか「はっはっ」とか言ってみてください。
指の腹に圧力を感じられるかどうか、確認してください。
はじめは、小さな声で十分です。
「声の出し方」がわからないうちに、大きな声を出すのはよしましょう。声はちらばって、あちこちに反響していまいます。圧力も弱くなります。
ちなみに、私の場所は、眉間や目の周りです。鼻翼の両側にも感じられます。
みなさんが、自分の一番感じやすいところを発見してください。いつでも、どんなときでも、その場所を指で感じられるように、訓練なさってください。
ポイントは、力を抜いて、小さな声を出すことです。
大きな声は、その場所をはずさない自信ができてから、練習することにします。
すぐにできなければ、日を改めてチャレンジされてください。
仮に今できなくても、あとで、
口蓋の上に息を持ち上げたり(⇒(11)息の持ち上げ方)
息のたまるスピーカー(鼻腔副鼻腔)の息漏れをふさいで維持したり(⇒(6)息の通り道)
鼻腔・副鼻腔の息の分量をふやすことで(⇒(5)声を出す場所のイメージ)
必ずその声を出す場所はみつけられますので、安心されてくださいね!
鼻腔・副鼻腔をみつけるヒント
口蓋の上の空洞(鼻腔・副鼻腔)の場所をつきとめるヒントは、
日常生活の中に、いっぱいあります。ほんの数例ですが、、、
①ワサビを食べ過ぎてツーンとくるところ
②お風呂に入ってふわあっといい気持になるところ
③おいしいものを食べて、幸せな気持ちになる所
④何かが思い通りにいって、やったあ!と喜ぶときの場所
上記のようなとき、人は空洞(鼻腔・副鼻腔)を、フル活用させています。
鼻息が荒くなっている状態ですし、恍惚感を感じているとも言えそうです。⇒声で変わる健康
つまり、私たちが無意識に、いい気持になっている場所が、
鼻腔・副鼻腔であり、正しい声を出す場所なのです。
こんなに気持ちのいいところを、
頻繁に使わないで、眠らせておくことは、
もったいないですよね!
「声の出し方」の練習をするときは、
楽しいこと、うれしいこと、おいしいこと、美しいこと、などを考えて、
幸せな気持ち、でやっていただけると、案外進歩が早いかもしれません!
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声を出した時にお腹が軽く動く(腹式呼吸)
ところで、鼻腔・副鼻腔の位置を感じる時の体の姿勢についても、意識してみるといいでしょう。
本来は、どんな姿勢をしていても、正しい声の出し方で、人にわかってもらうことができなければいけませんが、
練習の間は、声とお腹を連動させることをつかんでいただきたいので、つぎに姿勢についても触れておきます。
練習時の姿勢
上図の『咽頭と喉頭の区分図』ではみえませんが、気道(気管支)は、実際にはのびて肺につながっています。
ですが、気道のイメージとしては、太~い孟宗竹を想像しながら、やって頂きたいのです。⇒ (6)息の通り道
(※このブログでは、ある女性たちや黒人の方の声に多い、胸の声を、とりあえず、推奨いたしておりません。ご了承ください。)
息(空気)は、臍下丹田(みぞおち)や腰のあたり(尾骶骨)から横隔膜をやり過ごし、鼻腔・副鼻腔の上あたりまで続き、頭の上まであるような、太い柱をイメージされてください。
「はっはっ」と声を出すたびに、お腹が「ぷくっぷくっ」と軽く膨らむような、引っ張られるような、感触がある
これが、正しい声の出し方であり、腹式呼吸ということになります。⇒ミッション
上で「はっはっ」下で「ぷくっぷくっ」です。
このとき、故意におなかに力を入れることは考えません。
あくまでも、声をだしたら自然にお腹の皮が引っ張られる、というのが、正しいメカニズムになります。
声を出すたびに、軽いスポーツをしているような感覚になれば、なお、すばらしいと思います。⇒のどが疲れない音読法
それでは、小さい声で、声もおなかもはずませながら、軽く練習なさってください。
一日ほんの短時間で結構ですので、毎日気づいたらやっていただきたいと思います。
それでは、次回は、下あごをあけること、力を抜くことをお話しする予定です。