1. 誤解を招く発声説明への注意
一部の参考書には「声帯の振動によって作られた喉頭原音が声道を通過する際に母音や子音が調整される」という記述があります。
しかし、この説明はあたかも声が呼気(吐く息)に乗って喉や口から直接出るような解釈を促し、口呼吸を誘発する危険性があります。
伝統的かつ生理学的に正しい考え方では、声は口蓋の上、すなわち鼻腔・副鼻腔を共鳴腔として響かせて出すものであり、声帯は単に受動の振動源であって、声帯筋やその周囲に負荷をかけてはいけません。
声帯への過度な負担は炎症、声枯れ、息切れの原因となります。
2. 医療的観点からの音読法の重要性
鼻腔・副鼻腔を活用した音読は、呼吸機能・発声機能の両面から健康を守ります。
鼻呼吸により吸入空気が加湿・加温され、上気道の炎症や乾燥を防ぎます。
また、副鼻腔共鳴を活かすことで、声帯への物理的ストレスを最小限に抑えられます。
つまり、のどが疲れなければ、音読の継続や反復の意欲が持続します。
3. のどが疲れないおすすめ音読法
- 息を吸ってから話し始めない:初めに大きく息を吸うと空気が分散し、鼻腔・副鼻腔への集中が失われます。
- 口を軽く閉じ、鼻から軽く吐き3秒息止め:鼻腔内に圧を感じることが重要です。
- 息を止めたまま音読開始:速め、小さめ、自分に聞こえる程度の声量で。
- 気持ちよさを重視:鼻腔圧が心地よい状態を維持。
- 内容理解は二の次:誤読しても繰り返す中で修正されます。
- 息がなくなったら鼻で短く吸う:音を立ててスッと、おでこの副鼻腔を目指す意識で。
- 腹部の軽い動きを確認:腹式呼吸の感覚を養う。
- 気道の太い柱(安定した呼気流)は動かさない:丹田で声の支えを安定させる。
- 毎日15分を目安に:180日程度で明確な効果が期待できます。
4. 期待できる健康効果
- 鼻腔内圧増加による鼻閉塞改善、副鼻腔排膿促進
- 嗅覚・味覚の改善
- 頭頸部血流促進による眼精疲労・肩こり緩和
- 誤嚥予防(嚥下機能の維持)
- 脳機能活性化(聴覚フィードバックによる)
- 発音の明瞭化、滑舌がよくなると、心も安定する
5. 脳トレとしての価値
音読は、川島隆太教授の研究でも示されているように、大脳の聴覚野や前頭前野を刺激します。
速読による子音発音の軽快化、集中力維持、聞こえのトレーニングなど、発声以外の認知機能向上にも寄与します。
6. 実践の注意点
- 喉声を避ける(声帯直圧による負担を減らす)
- 秒数を測り、いつも記録に挑戦しようとすること
- 唾液が出てくるような音読をすること
- 意味にとらわれて遅く読まないこと
- 半年間毎日継続すれば習慣が定着すること
- 息を吸うときは舌を上げて少しだけ鼻から吸うこと
まとめ
鼻腔・副鼻腔を活用した「のどが疲れない音読法」は、発声器官の保護と健康維持、さらに脳機能向上に有効な方法です。
口呼吸や喉声を避け、この、体に優しく楽な方法を継続的に行うことで、声と健康の質を高めることができます。

⇒声で変わる健康
⇒レッスン
⇒(5)声を出す場所のイメージ
⇒(6)息の通り道
⇒話してるけど伝わらない
⇒聴覚フィードバック~自分の声が聞こえないと話せない