鼻呼吸だけでマラソンは走れる?
最近「鼻呼吸に変えたらタイムが上がった」という話を耳にします。
しかし実際には、フルマラソンを鼻呼吸オンリーで走り切るのは難しいのが現実です。
鼻腔は口よりも通気が狭く、レース後半やスパートで必要な酸素量をまかなうのは不可能に近いからです。
大切なのは「鼻呼吸だけで走る」ことではなく、鼻呼吸の比率をできるだけ高めることです。
鼻呼吸が強いランナーは強い理由
- 鼻呼吸は空気を加温・加湿し、気道を守る。
- 鼻腔から分泌される**一酸化窒素(NO)**が血流配分を改善し、酸素効率を高める。
- 横隔膜をしっかり使うため、換気効率が上がり「同じ呼吸数でも楽に走れる」。
つまり、鼻呼吸で走れる範囲が広い人=心肺が強い人と言えます。⇒鼻呼吸しにくい人とは(下記)
吐くときの工夫:「鼻+口ミックス」
「鼻から吐くのは間に合わないのでは?」という疑問は当然です。
実際、吐く量は口の方が大きく、鼻だけでは不十分な局面があります。
そこでおすすめなのが 鼻+口ミックス呼吸。
- 吸うときは必ず鼻から
- 吐くときは鼻を開けつつ、必要に応じて口も使う
こうすることで、口呼吸の弊害(乾燥・咽頭の炎症・喘息リスク)を防ぎつつ、十分な換気量を確保できます。
トレーニングに「鼻呼吸ジョグ」を取り入れよう
鼻呼吸ジョグとは、ジョギング練習を鼻呼吸だけで行うトレーニングです。
- ペースは落としてOK
- 息苦しくなったら歩いてもよい
- 会話ができる程度の強度が目安
この練習を続けると、
- 横隔膜や呼吸筋が強化される
- 心拍数が下がりやすくなる
- レースでの口呼吸併用時に「余裕が生まれる」
といった効果が期待できます。
. 鼻呼吸訓練の注意点
鼻呼吸に切り替えると、最初は苦しさや頭痛が出る人もいます。安全に行うために以下の点に注意してください。
- 無理に続けない
息苦しさが強ければ中止して休む。 - 段階的に導入
まずは日常生活(読書・歩行)から、次にジョギングなど低強度運動へ。 - 鼻腔を清潔に保つ
鼻うがい・点鼻薬・抗アレルギー治療を並行しても効果的。 - 睡眠中の鼻呼吸
鼻テープやリップピース(YORA発声法スクールの補助具)で練習可。
ヨガ呼吸との違い
ヨガでは「鼻から吸って口から吐く」という指導も見られます。
これは副交感神経を優位にするための特殊な方法で、ランニングにそのまま当てはめると口呼吸の癖を助長するリスクがあります。
マラソンでは、吸気は鼻、呼気は鼻+口ミックスが基本です。
鼻呼吸がしにくい人
ランナーに限らず、以下のような方は鼻呼吸が難しくなることがあります:
- 慢性鼻炎・アレルギー性鼻炎
鼻粘膜の腫れ・分泌物で気道が塞がれる。 - 鼻中隔弯曲
鼻の内部の仕切りが曲がっていて通りが悪い。 - 副鼻腔炎(蓄膿症)
膿や粘液がたまり、鼻呼吸が不快に感じる。 - 口呼吸習慣が定着している人
幼少期からの習慣で舌位が低く、鼻呼吸筋群(横隔膜・鼻翼)が弱い。 - 高齢者や寝たきりの方
筋力低下・加齢性の口腔機能低下で鼻呼吸が維持しにくい。
👉 つまり「心肺が弱いから鼻呼吸できない」というより、鼻の構造や習慣の影響が大きいです。
血圧との関係
「血圧いくつなら鼻呼吸禁止」という医学的な基準はありません。
むしろ鼻呼吸は、交感神経の過活動を抑え、副交感神経を優位にする効果があり、血圧安定に寄与すると考えられています。
ただし注意点があります:
- 高血圧の人が「息を止めて力む(バルサルバ様)」を長時間すると、一時的に血圧が急上昇します。
- したがって鼻呼吸訓練でも「長く息を止め続ける」「強くこらえる」ことは避けるべきです。
- 例えば収縮期血圧が 180mmHg以上など、重度の高血圧が未治療の方は、息止めを伴う強度な練習は控え、安静時の鼻呼吸から始めるのが安全です。
まとめ
- 鼻呼吸だけではフルマラソンは難しい
- 鼻呼吸の比率が高い人は、心肺が強いランナー
- 吐くときは「鼻+口ミックス」で効率と安全性を両立
- 練習には「鼻呼吸ジョグ」を取り入れて心肺を鍛える
👉 吸気は鼻、呼気は鼻+口。これがランナーの新しい呼吸戦略です。