(11)くちびるの力を抜く

上下の唇と歯茎の間に空間を作るツール

くちびるの力を抜く練習法をお伝えします。

【くちびるの力を抜く】~バンジージャンプで装用

アイキャッチ画像のこの商品は、何年か前、イモトアヤコの「世界の果てまでイッテq」を見ていたときにみつけました。

番組内でバンジージャンプの挑戦者たちに、ジャンプ前に配られていた、マウスピースのようなもので、『ハイパーリップ』という商品名です。

気になったので番組に聞いて、すぐに取り寄せました。それで早速つけてみました。

ハイパーリップ(プラスティック製)

外国製で、サイズがいろいろあるのかどうか、わかりませんが、このサイズですと、小さな口の人には、装用するのが一苦労です。

くちびるの力を抜く ハイパーリップ

たしかに、これを付けてジャンプをしたら、きっと舌を噛むことがなく、くちびるがゆるみ、全身の力がぬけて、おそらく、意識を失うこともないだろうと想像できました。

くちびると上下の歯茎の間に広い空間ができることで、いやおうなしに、のどを開けっ放し状態にさせられてしまいます。

口呼吸をしようとしても全く不可能です。⇒口呼吸はこわい!

それで、もしも、ひとまわり小さいものがみつかれば、呼吸法を学ぶのに、適切なツールになるような気がしました。⇒声で変わる健康声の問題~よくある症例

くちびるの周りが硬直している

ところで、高齢者のみなさまは、くちびるの力を緩めて発音する『P』の発音が苦手のようです。

「ピアノ」とか「ポスト」とか、発音しにくいし、聞き取りにくくなっておられると考えられます。⇒自分の声が聞こえないと話せない

たとえば、お孫様にキスをするとき、硬いくちびるで、キスされるでしょうか。

されないと思います。

くちびるを緩めるイメージとして、参考になさってください。⇒鼻腔・副鼻腔に息をはらんで力抜くこと

かと言って、分厚くするのではありません。息をとめることができる、いいくちびるというのは、引き締まっています。かつ、力は抜いた状態になっていると思われるのです。

舌やあごの力は抜けているのに、くちびるだけ硬直している、ということはございません。

くちびるだけでなく、舌もあごもすべての箇所の力をぬかなければ、楽な呼吸も、楽な発声も、手に入れることはできません。⇒(10)舌根を前に出す

くちびるの力を抜くことも必要なリハビリです。⇒息を止めて耳を澄まし記憶する法

くちびるの力を抜く練習法

それでは最後に、くちびるの力を抜く練習法を3つお伝えします。

1つ目は、口を軽く結んで、「ブルブルブル」と息を出し、くちびるを連続して、振るわせてもらう練習です。

飛沫がとばないように、軽くおねがいします。

できるだけ長くできるように、力を抜いてやってみてください。

少ない息でできるだけ長く、くちびるをふるわせてみてください。

2つ目は、1つ目が上下の歯を閉じて息を出しているのに対し、今度は歯を閉じないで、プップップップッとか、パッパッパッパッと、何度も連続的に、空気を破裂させられるか、やってみてください。

これは案外難しいです。お腹で息を支えています。鯉のように、口をパクパクさせるだけで、破裂音を出してみます。⇒(1)声の出し方 (6)息の通り道

この時舌は、飴玉のように、口の中に存在する感じにさせておいてください。⇒のどが疲れない音読法

舌もくちびるも同時に力を抜く練習法

もう一つ、3つ目に、これは少しお行儀が悪いですが、「お皿をペロリとなめる方法」があり、これで舌も、くちびるも同時に力を抜くことが出来そうです。

食事中または食事後、できましたら、ソースのついたお皿を、猫になったつもりでペロペロとなめて、

舌と、くちびるが同時にゆるんでいるのを、確かめていただきたいと思います。(塩分の取り過ぎには注意されてください!)⇒(8)軟口蓋をおろす

もしも、誰かにこの瞬間を見られることがあったら、「舌の訓練をしているのだ」と、忘れずにお断りされてくださいね!

練習すれば必ず舌も、くちびるも柔らかくなりますよ!

くちびるが固いとどうなるか

レッスンをしていると、ほとんどの方のくちびるは固いです。くちびるが固いとどうなるでしょうか?

これは、とりもなおさず、のど声や口呼吸に近づきます。⇒FAQ

鼻腔・副鼻腔から出す声とは、たとえれば、骨が鳴る声になりますので、くちびるやほおなど、顔の肉が硬直して、骨に張り付いた状態であればあるほど、骨は響きにくくなると想像できます。

レッスン中、表情をつくり、百面相などして、顔の骨と肉、皮を、はがしてもらっています。⇒(2)鼻腔・副鼻腔に息をはらんで力抜くこと

口角を上げて、鼻翼をひろげ、目を大きくすると、それだけで、鼻腔・副鼻腔に息が満たされてきます。

その顔をしたときに、その顔を持続できない時は、下あごをあけたり、口を開けてみるなどして、自分に一番いい、鼻腔・副鼻腔での息の保ち方を、見つけていただきます。⇒(9)息の持ち上げ方