ガッテン!「食べる喜びを取り戻す」で感じたこと

ガッテン!「食べる喜びを取り戻す!謎の3分ストレッチ」(2021/4/21)放送で感じたこと

番組の取材内容に疑問点あり

先日放送のNHK健康番組ガッテン!「食べる喜びを取り戻す!謎の3分ストレッチ」で、疑問に感じたことが2つありましたので、まとめてみます。

舌は、食べ物を飲み込むときに、舌の上でそれをまるくまとめて、のどに流し送る機能をはたしていますが、その機能を測る装置があるそうです。

舌の圧力を測る機器で、回答者の方々の舌圧をはかっておられました。

そのとき、久本雅美さんが、「おしゃべりなのに舌圧が低いなんて」と、冗談めかしに話しておられて、実は私も少し疑いを感じました。

番組の結論

番組の結論は、次のようでした。

姿勢と飲み込みは密接な関係があるようです。

舌と太ももの裏側の筋肉が骨盤を通してつながっていることに着目されていました。

太ももの裏の筋肉を伸ばすストレッチを食前にたった3分ほどするだけで、骨盤の座位の角度が修正され、座ったときの姿勢が改善されることがわかりました。

それで、ふだん前かがみで食事をされていた人が、姿勢が正されることで、舌圧が高くなり、飲み込める(誤嚥予防)というものでした。

食事後の舌圧検査の比較はなされず、舌圧の数値の変化はわかりませんでしたが、実際の介護の現場を見ると、食べられなかった患者さんの舌が、食べ物をのどに流し込んでおり、良い効果ははっきりと確認できました。


疑問①鼻呼吸が確保されるか否か


おしゃべりと舌圧との関係はないのかもしれません。(おしゃべりのことは饒舌というので紛らわしいですが)

一般的におしゃべりの人は、前頭葉に近い鼻腔で吸った息を、間髪入れずに声にされてゆきます。つまり、息を奥に沈めることなく、思いついた言葉を声にされます。⇒(7)声の回し方 ⇒(5)声を出す場所のイメージ

おしゃべりな人であれば、「鼻呼吸」であり、「舌」も「くちびる」も柔らかいはずなので、嚥下障害になりにくいのでは?と思うのが普通ではないでしょうか。⇒(3)誤嚥を防ぐしくみ


おしゃべりであれば、舌は口腔内で飴玉のようにころがっていると思われるので、普段舌の力を抜いている、このような習慣であれば、舌圧は弱くなるのではと想像できるのです。⇒くちびるの力を抜く

だから、舌に力を入れて、圧力を計測することが適切かどうかに、まず疑問を感じてしまいます。

太ももの裏の筋肉を伸ばすこと

以前(2)息をはらんで力抜くことでふれましたように、「声で変わる姿」のところで、鼻腔の内圧で声を出すことに成功してくると、体の力が抜けて、「ひかがみ」までのばせるようになることを、お伝えしました。

太ももの裏の筋肉をのばすことは、歩きながら、「ひかがみ」をのばすことと等しいように、私には思えるのですが。どうでしょうか。

まず、呼吸法発声法が先にあって、それから、姿勢を正すのが順序のような気がしてしまいます。

誤嚥は緊急の課題ですので、順序などかまっていられないのは十分わかるのですが。

疑問②舌圧の測定値は舌根の位置によるのでは?


舌根が下歯茎のそばにあるとしたら、舌圧のとらえ方は違ってきます。⇒(10)舌根を前に出す

仮に、舌根が下歯茎のそばにあれば、舌圧は、舌に力を入れなくても高くなりそうです。

私としては、「姿勢を正す」ことも重要ですが、「舌根を前に出す」ことも、同じく重要だと言わせて頂きたいのです。

なぜなら、「舌根を前に出す」と、すぐに誤嚥予防できるだけでなく、同時に、「鼻呼吸」や「腹式呼吸」や「認知症予防」につながることだからです。

声道の模型を吹いて発音をする研究

また、別に番組では、「舌と発音のメカニズム」から、舌を使ってのどを広くしたり狭くしたりして発音する、「声道模型」の笛の研究を紹介されていました。

私は、「声で変わる健康」のブログを書いておりますので、健康のために、のどを開けることを推奨しており、「声帯で声を出す」という概念から離れてほしいことを、ずっと訴えてきました。⇒(4)2階で声を出す ⇒(6)息の通り道 ⇒声帯の動画から見る、鼻腔の内圧の声

「声は、鼻腔の内圧で出す」ものであり、昔の日本人や現代の特に南欧の人々は、鼻呼吸でことばを話しています。⇒声(息)と言葉の関係について 
ことばを話せないあらゆる赤ちゃんは、鼻呼吸をしています。⇒口呼吸はこわい!(中には鼻が詰まる赤ちゃんもおられるようです)

ですので、舌でのどを広げたり狭めたりなど、舌に力を入れることを前提に行われる動きが、自然な運動であるとは、どうしても考えられません。(もしかしたら、ドイツ語を参考にされたのかもしれません)

舌に力を入れて、鼻呼吸が確保されるのでしょうか?

舌が付随的に動いてしまっているというのでなければ、「伝統的な発声法」としては本末転倒な説明になってしまいます。⇒歴史ある発声法(8)軟口蓋をおろす


無言で通じる、或いは声帯を使わず話すこと、で触れましたように、人は呼吸をしてさえいれば、声帯を鳴らさなくても、話はできます。

もちろん、ある程度、舌の役割は必要になってきますが、決して舌に力を入れることはありません。(舌を意識するのは子音の発音ですから)

それに、声帯を鳴らさない方が、健康に、ずっといいことがわかっています。

なぜなら、少し前まで昔の人たちがそうしていたからですし、声帯をいたわる方法としてプロの歌手たちがしていることだからです。

舌根が下がると「低位舌」

最後に、参考資料をご紹介します。お元気な方はぜひ次のようにお体を使ってされてみてください。

今井一彰歯科耳鼻科内科統括医長の「口呼吸は危険がいっぱい 自分ですぐに改善できます」では、舌根が下がる状態を「低位舌」(ていいぜつ)と呼ぶこと、氏自ら考案された「あいうべ体操」が鼻呼吸に効果的であることがわかります。

同じく50代でも喉は高齢者かも・・・周囲の筋肉を鍛え、誤嚥を防ぐトレーニングを、ではガッテンとはまた別の予防体操を知ることができます。

ガッテンの『太ももの裏を鍛える法』も、今井医師の『頭部挙上訓練』も、両方とも合わせてお試しくださればと存じます。

なお、鼻腔の内圧を高め、舌ものども力を抜き、声帯を意識しない声の出し方をすることが、当ブログの予防法になっておりますので、こちらも参照頂ければと存じます。⇒嚥下障害と予防法




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