おちょやん、早口過ぎるのか?

おちょやん、早口過ぎるのか?

「おちょやんの早口の関西弁が聞き取りにくい」という加齢性難聴の方が多く受診されます

私がフォローさせて頂いている、耳鼻咽喉科の先生に、今回もヒントをいただき、1か月ぶりにブログを更新いたします。お気楽Dr.ジェスレッ君「耳鼻咽喉科医の独り言」。先生、ありがとうございます!

加えてご覧いただきたいのは、「おちょやん、早口過ぎる!」梅さんのかわら版. umelog です。

こちらでも、視聴者の新聞投稿で話題になっているほど、おちょやんのせりふが、聞き取れないことがわかります。

それで私も、先生方に賛成したいと思い、以下考察してみます。

聞き取れなければドラマじゃない

おちょやんの関西弁は、大阪・南河内の貧家に生まれた主人公の方言で、河内弁というそうです。

大阪弁といっても、泉州弁や河内弁、古くは商人の街で使われた船場言葉など様々な方言がある。河内弁は大阪府の富田林市や矢尾市など大阪の南や東の地域の言葉で、時にはけんか腰のように聞こえることもあるのが特徴。藤井寺球場を本拠地にしていた近鉄バファローズが、やってまえの意味合いがある「いてまえ打線」とよばれていたように、威勢のよさが光る。

朝の「おんどれぇ!」 おちょやんの河内弁が話題のわけ(asahi.com)アイキャッチ画像ともに引用

ドラマや芝居は、聴衆に聞き取れるのが前提であると、梅さんも仰っておりましたが、聞き取れなければどんなにいいドラマもシナリオも本当に台無しですね。

なぜセリフがわからないのか

おちょやんが、河内弁がうますぎる、とも評されている一方で、なぜセリフがわからないのか疑問がありそうです。はたして早口過ぎるのが原因でしょうか?

当ブログの考察は、、、早口を原因といたしません。

難聴の方でなくても、おちょやんのセリフはわかりません。

では、おちょやんが通る声であるのに、セリフがわからないというのは、どうしてなのか?

発声法的に4つの理由があるからと思われます。

①息のポジション

おちょやんは、鼻腔の内圧で声を出し始めておられるのですが、演じることに比重がおかれ、息を持ち上げる時間をもてないでおられるようです。⇒(9)息の持ち上げ方

声(息)の場所と言葉の関係について

②声を回すというテクニックが不十分

(7)声の回し方でもお伝えしましたが、声を続けるときは、声を回しながら、発話(発声)位置に戻らなければ、セリフを持続させることはできないものです。

発声はイコール呼気(吐く息)なので、吸気(吸った息)の天辺を軽くたたいて声を出しますが、必ずそれより下に落っこちます。つまり、鼻腔からおちて、鼻腔の内圧が減ってゆきます。

そのとき、つぎに、息を補給する技術がなければ、息が足りなくなって(鼻腔の内圧が足りなくなって)、声の響きは失われ、セリフが耳にとどかないことになってしまうのです。

この説明でわかりますでしょうか?

③話してるけど伝わらない

話してるけど伝わらないでお伝えした例は、高齢のお客様でしたが、おちょやんにもあてはまりそうです。

演技に重心がおかれ、息を整える時間を見いだせないでおられるようです。息の吸い過ぎ、吐き過ぎがおこると、一語一語がつながって、ペースト状になり、自分でことばを食しているような、伝え方になってしまうのです。

④息を止めていない

おちょやんの息が止まっていないことは、駆け足のシーンでわかるかもしれません。

息を止めて走っている姿というのは、障害物をよけて走るような、いつでも静止できる状態になっています。

おちょやんの場合は、危なっかしい姿であり、残念ながら息を止めておられるようではありません。つまり、安定的な呼吸ができていないということになるでしょう。

感染症の影響

素人の分際で、私がいろいろと失礼なことをえらそうに並べさせていただきましたが、総合的に、おちょやんの杉咲花氏は優秀な女優さんだと思います。

間違った方法で大声を出すと声帯を痛めるで、書きましたように、ふつうのシーンでは、見せ場を幾らも作っておられる役者さんでも、大声でどなるシーンでは、途端にその声のために貫禄をなくされたり、伝わらないセリフになってしまわれることは多いです。

だから、おちょやんだけではありません。

とはいえおちょやんが、毎回見せ場を作っておられるのは本当です。おそらく、制作の日程の問題があると思います。

感染症の影響で、前作の『エール』が、6月29日から放送休止となり、9月14日に再開した関係で、放送日程の番狂わせがありました。この『おちょやん』は、5月15日終了だそうです。

練習時間やリハーサルに時間が取れない、最悪の状況の中で、番組の制作が行われていることも、推量して差し上げないといけませんね。

威勢のよさ、緊張感に「いいね!」

梅さんもこぼしておられましたが、セリフが聞き取れないことは、ドラマにとって致命的な問題であるでしょう。

しかし、主役としての一生懸命さがつたわっており、十分な緊張感があり、実在の浪花千栄子の苛酷で波乱万丈の生涯を演じるのに成功していると言っていいのではないでしょうか。

緊張感のないドラマやお芝居もたまに遭遇しますので。(日本のお芝居は面白いと思います。)

私もおちょやんを応援する一人です。きっとこの失敗をバネにされ、日々精進されてゆくのではないでしょうか。

浪花千栄子の発声を早口と感じるか?

ところで、実在のモデル、浪花千栄子をご存知でしょうか。

私は知りませんでしたので、NHKラジオでその肉声をきいて、びっくりしました。

早口なのに、本当によく理解できるセリフをしゃべっておられました。

もしかしたら、録音技術の違いで、聞こえの差が生まれているのかもしれません。

どうしても、デジタル音声は、均一にきこえてしまうものですから、おちょやんにとっては、不利な軍配に甘んじるしかないのかもしれません。

朝ドラのおちょやんが早口過ぎてわからないという方は、ぜひこちらでそれを確かめていただけたらと思います。

よく喋るお母ちゃん https://youtu.be/l6X18JBm7Hc

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