聞こえるのにわからない

音声信号と脳の負荷 Oticon Catalog

聴覚情報処理障害(APD)に関してコメントします

聴覚情報処理障害(APD)とは ~聞こえるのにわからない

補聴器装用後3ヶ月くらいすると、時々見かける症状があります。

この病名については、『耳鼻咽喉科の独り言』お気楽Dr.ジェスレッ君のブログから「きこえるのにわからない?APDって何?」で確認ができます。

聞こえるのにわからない
PicsArt

APDの症状について引用してみますと

・聞き返しや聞き誤りが多い

・雑音など聴取環境が悪い状況下での聞き取りが難しい

・口頭で言われたことは忘れてしまったり、理解しにくい

・早口や小さな声などは聞き取りにくい

・長い話になると注意して聞き続けるのが難しい

・視覚情報に比べて聴覚情報の聴取や理解が困難である

    (「APDの理解と支援」より引用)

「聞こえてるのにわからない」ーー仮に難聴でなくても、そういうことはありそうです。

この症状が続いていると、とても不安になってきますね。

耳で聞き脳でわかる補聴器がサポート

ことばの聞き取りは、音の聞き取りとは違った、補聴器の処方が用意されています。

最新型の補聴器であれば、AIが自動で
①音環境を解析し、
②会話の音と雑音とを区別し、
③脳と耳を会話の内容に集中させることで、
④内容を理解する、
という脳の働きの4つのプロセスを助けてくれます。

Oticon補聴器総合カタログから

ほかに、手動でする方法もあります。
特殊な音環境を想定したプログラムを個別に補足することで、きこえを補います。
患者様の生活環境に合った、プログラムを追加するといいでしょう。
専門店が2人3客で、患者様の生活の向上をめざしてゆきます。

聞こえる、そしてわかるようになるために

半年過ぎても、きこえに満足できない場合は、聴覚トレーニングという方法があります。

補聴器がなければ、聴覚トレーニングができないことになりますが。

毎日15分間の音読を約半年間継続したら、患者様の語音明瞭度が30%復活したデータがございました。

詳しい聴覚トレーニングの方法は、自分の声が聞こえないと話せない、やのどが疲れない音読法 でふれております。よろしければ参照ください。

まとめ

☆補聴器の選択

APD「聞こえてるのにわからない」場合には、まず、ご本人に適合する補聴器を選択いただくことが第一です。

☆補聴器の調整

それから、お店で補聴器の調整をされてください。

自分のお耳の癖を補聴器に読み込む作業が補聴器の調整です。

☆聴覚トレーニング

補聴器を付けたら、お時間のあるときに、お耳と脳を鍛えて頂きます。

脳トレ本や新聞の見出しを活用し、音読していただくことで、口呼吸を修正し、口呼吸でなくなれば、きこえも自然に改善されてくるようです。⇒声で変わる健康増えている「声の病気」のこと

豊かな補聴器ライフを!

補聴器はあくまでも補聴です。

義足が自分の足の延長であるように、補聴器が「義耳」となってからだの一部となり、脳を守り、生活を豊かに感じられるようになるツールになるでしょう。

かんたんな自助努力については、こちらを参照ください。⇒嚥下障害と予防法 いじめに負けない鼻腔の内圧の力

周囲のサポート

「聞こえてるのにわからない」状態は、TVでも紹介され、社会問題になりつつあるようです。

特に、周囲の雑音やバックグランドミュージックが、聞こえの障害になるのでしょう。

補聴器をつけたり、聞こえの訓練をする自助努力のほかにも、周囲のサポートも検討してゆく必要がありそうですね。

ある解決策の提案(追記)2021/8/20

ここで「周囲のサポート」について考えてみたいのですが、それは、メディアのサポート

チコちゃんの声

例えばNHKの「チコちゃんに叱られる!」(2018/4/13~)のチコちゃんの声は問題ではないかと思っています。

”チコちゃん”の声を聞いて、私のように咳が出る人も案外多かろうと思われるのです。

”チコちゃん”の声は、人間でいったら、子音を強化している、のど声のポジションに当たる気がします。

のどやあごがしまり、チコちゃんの真似をすると苦しくなりませんか?

言葉のセンス

付け加えて、「言葉のセンス」について。

「人流」は何度聞いても驚きます。参考資料を参照ください。

「人流」に違和感(つくば難聴めまいセンター)
「人流」の語、やはり抑制すべきでは(毎日ことば)

筆者からも一言。「人流」という、記憶に残りにくい、のどがしまる言葉で、どのくらい多くの人に、影響を与えようとお考えでしょうか?

あごを開けないで話す言葉

あごを開けないで話すこの言葉は、「聞こえるのにわからない」言葉ではないでしょうか?⇒ミッション

本来、鼻腔・副鼻腔で発音されなければいけない母音を、口蓋の下で発声するには、遺伝的に、普段子音の多い言語を話している人たちのような、強靭な下あごや声帯の筋肉が必要になってきますが、私たち民族にとって、これは心配な現象ではないでしょうか。

ともあれ、当面の解決策としては専門用語や大切なことを相手に伝達するときは、伝わる口跡(発音)が大切です。息を吸うと同時に声を出さない事。息を止めて、一言一言、短く切って話したら、相手に伝わりやすいでしょう。 ⇒息を止め耳を澄まし記憶する法   話してるけど伝わらない

話すときの腹筋を取り戻すことも重要です。腹式呼吸や鼻呼吸を完全にしていただくために、食事や睡眠の自己管理もお願いしたいところです。⇒鼻腔・副鼻腔に息をはらんで力抜くこと  即!鼻呼吸にきりかえる法  気力回復、こりゃ神だわ!

APDの若者たちについて

最近、APDの若者たちをメディアでみかけることがあり、気づいたことがあるのですが、話し声が口蓋の下に沈んでしまっているようです。

口呼吸でもあり、日本語のせいでもあると思われますが、もしかしたら、ほかにも不明な原因があるかもしれません。⇒声(息)の場所と言葉の関係について

しかし、とりあえず、発声法をおためしになることをおすすめします。⇒(7)声の回し方

口蓋の上に声を集めることができれば、それだけでも、疾病の状態は、少しずつ改善されてゆくのではないでしょうか。⇒(13)海女さんの呼吸法